東京高等裁判所 昭和48年(く)113号 決定 1973年9月13日
少年 K・N(昭三〇・三・一〇生)
主文
本件抗告を棄却する。
理由
本件抗告の趣意は、右抗告人堀越義裕名義の抗告申立書記載のとおりであるから、これを引用し、これに対し当裁判所はつぎのとおり判断する。
論旨は、標記少年は道路交通法違反(無免許運転)により保護観察を受けることになり、居住町内の保護司を紹介されたが、少年の父はかつて永年神奈川県警察官を勤め、少年の母も町内会の役員をしているので、同町会の保護司の観察処分は受けたくないし、少年には今後、無免許運転をさせないから、保護観察処分を取消して貰いたい、というものである。
そこで関係記録を調査してみると、少年はさきに昭和四五年および昭和四六年に今回と同様な違反を犯し、家庭裁判所においてその都度不処分として処理されながら、改悛の情もなく、今回また同種行為に出たのであつて、右非行は、現在の交通状況から見て、真に危険なものといわねばならない。また、少年の家庭、勤務先の環境等を併せ考慮しても、すでに前回と同様の処分をもつてしては、少年に対する教育の効果を挙げ得るものとは認められず、本件保護観察処分は相当と考えられるし、同町内の保護司の観察を受けたくないとの理由は、原決定を取消す理由とはなし得ない。論旨は理由がない。
以上の次第であるから、少年法第三三条第一項により本件抗告を棄却することとして主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 吉田信孝 裁判官 大平要 粕谷俊治)
昭四八・六・二三付け法定代理人親権者父作成の抗告申立書
抗告の趣旨
私の長男K・N○○高校三年在学中、父所有のバイクを持出し友達の家に遊びに行き弘明寺派出所のお巡りさんに無免許にて注意され、其のため本年六月十三日家庭裁判所より呼出しを受けました。色々御注意の上保護観察を受ける事になり○○町町内居住の保護司さんを紹介されました。K・Nには弟妹もあり兄の保護処分を気にして何んとか裁判官殿にお願いして二度と無免許運転させぬ為、バイクも処分し今後家族一同で厳重に見守り無免許運転させません。又本人も二度と無免許ではバイクに乗らないと誓約して居りますので何とぞ今回の保護観察処分をお許し載きたくお願い申し上げます。
抗告の理由
保護者父K・H永年神奈川県警察官を勤め、保護者母K・Y子も町内会の役員をしており同町会の保護司の観察処分を受けたくはない。
弟K・S県立○○二年在学中も心配している。保護者は今回の長男K・Nの行為を深く反省し二度と無免許運転はさせませんし、他の人の迷惑となる行為はさせぬ事を誓約いたします。